静岡県周智郡森町・山名神社 天王祭舞楽
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2006年7月15日(土),16日(日)静岡県周智郡森町の山名神社で「山名神社天王祭舞楽」が行われました.そのうち7月15日(土)の様子をご覧ください.
慶雲三年(706)創建とされる山名神社は江戸時代には牛頭(ごず)天王社と呼ばれていました.祭神は素盞鳴命で,祭礼はいわゆる祇園祭です.
この祭礼には八段の舞楽と8台の屋台が奉納されます.
屋台は各氏子域を曳き回した後,山名神社に集合し,舞楽が行われている舞屋の周りを廻ります.
舞楽は,「舞楽指南書写」によると,97年間途絶えていたので慶長十一年(1606)に四天王寺より伝習して復活した事が記されています.しかし,現在の舞は四天王寺の舞楽とは趣が随分異なり,むしろ京都祇園祭,しかも応仁の乱以前の風流舞の系統を引くものと考えられています.
1982年に国の重要無形民俗文化財の指定を受けました.
いつもは最新の祭りのオリジナルサイズの画像を見ていただいていますが,今回はアップいたしません.あしからずご了解ください
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舞屋
舟形の舞屋で,前後が幕で仕切られていて前部分(神前側)が舞台.後が楽屋となっています.舞台部分は中央奥に志ん柱.前方左右に東柱と西柱が立てられ,舞台中央に2畳のウスベリが敷かれ,舞はその上で行われます.
初まくり
舞台と楽屋を仕切っている幕を捲くって太鼓,笛,大鼓,指南役が舞台に登場し楽器のみの演奏が始まります.
二日目にはすべての舞が終わると再度楽器のみの演奏が行われます.これを,「総まくり」といいます.
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八初児(やつばち)
二人舞.日・月一対の天冠をかぶり,顔には「鼻かけ」をかけます.腰には鞨鼓をつけて両手に撥を持って舞います.清めの舞といわれています.
二日目には,優填獅子が終わった後登場して半舞だけ舞います.これを,「獅子追い」といいます.
神子舞(みこまい)
一人舞.鳥居と太陽が彫られた天冠をかぶり,髢(かもじ)をつけます.女性の面をつけ,右手に鈴,左手に扇を持って優雅に舞います.
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鶴(つる)
二人舞.阿吽の一対の鶴の頭をつけます.頭の周りには赤熊(しゃぐま)がついています.15枚の舞羽を背中につけ両手の指をかけて,舞羽を広げたりたたんだりして舞います.雌雄で舞いますが雌が先に退場し雄が残って舞います.
獅子(しし)
二人舞.阿吽の一対の獅子の頭をつけます.頭には赤熊がついた珍しいものです.顔には鼻掛けを掛けます.雌獅子がまず登場して,途中で雄獅子が登場.雌雄二人で舞った後,雌獅子が先に退場して雄獅子が残って舞います.
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迦陵頻(かりょうびん)
一人舞.鳥居と太陽が彫られた天冠をかぶり髢をつけます.若い女面をつけ,背中には「鶴」と同じような15枚の舞羽を付けます.一番外の羽を指にかけ,舞羽を広げたり閉じたりして舞います.
龍(りょう)
二人舞.赤熊のついた龍の頭をつけて,お尻には龍の尾をつけます.雌龍がまず登場して,しばらくして雄龍も登場して二人で舞います.途中で,舞台神前寄りの左右の柱によじ登り,足で柱を挟み,手を離して三回あおります.雌が先に退場した後,雄の一人舞となり,最後に再度しん柱によじ登ってあおります.
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蟷螂(とうろう)
一人舞.赤熊の付いた蟷螂の頭をつけた珍しい舞です.背中には4枚の舞羽がつけられています.また,蟷螂の鎌はひもで動かすことができます.
優填獅子(うでんじし)
二人舞.獅子役は赤熊のついた獅子頭をつけ,顔には鼻掛けをかけます.獅子が舞っていると,黒い髭と髪の面をつけ,赤い布を巻いた直径1m程の輪を持った優填が登場し,二人で舞った後,輪で獅子を捕らえ楽屋へ引き下がります.
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屋台−これは舞楽ではありません.
市場,下飯田,中飯田,上飯田,東組,西組,城北,若宮の八つの地区からそれぞれ一台ずつ屋台が出されます.屋台は二輪で屋根は平らで2〜3体の人形を置いています.
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参考資料: 森町史
藝能史研究 124号