御神楽祭り 次第
しめのはやし 二之宮の前に大太鼓を置き,,祭りの参加するもの全員が,その前に座ります.音頭取りが打ち鳴らす太鼓に合わせて,ウタグラが歌われます.舞処や祭り使われるすべてのものが,清められたことを神に告げる内容です.約30分続けられます.
清めのお湯
(瓶子巻)
竃の廻りに,音頭取りを中心に数名のものが集まり,笹の束で作られた湯タブサを持ち,ウタグラが歌われます.途中で釜のふたを開け,湯タブサを煮えたぎる湯に浸し,引き上げます.その間もウタグラは続けられます.
ウタグラは,まず舞処と祭具を清めることを歌い,その後,伊勢の天照大神をはじめ,各地の神々,村内各社の神々を請じます.
この間に,神々にそなえる御神酒や赤飯・おはたきなど,供物を準備します.
宮清め 釜の湯を小桶に移し,先達が小桶と湯タブサを持ち,ウタグラを歌いながら,最初に神殿.次に供物,面形が納められた部屋,杉の木の株,境内に祀られている各社,鳥居と氏子を本殿内から清めます.最後に,太鼓,二之宮,舞に使う上衣,祭事に関わるものたちを,それぞれ湯タブサで湯をふりかけて清めます.
天狗祭り まず神殿の後ろにある面形が納めてあるメイジンに行き,「火の王」「水の王」の面にオハタキを供えて祀ります.つぎに,オハタキと御神酒を2つの膳に整えた六名が,膳と幣を献げて社殿裏にある「宮天狗杉」と「原天狗杉」に献供物を供えて祀ります.
天狗祭りと並行して「不動祭り」と「賽の神祭り」が行われます.
この祭りは,御神楽祭りの中でも,最も重要な儀式と言われ,祭りに災厄をもたらす天狗を祀り上げ,祭りの場に侵入することを防ぐための儀式と言われています.
式の舞 最初の舞です.天狗祭りをつとめた四名で舞われます.はじめ,太鼓と笛に合わせてウタグラがうたわれます.舞手は扇と鈴を背中に差し,ゆわぎを持って舞い始めます.次に,ゆわぎを羽織り,鈴と扇を持って舞います.式の舞では「ゆわぎの手」と「開き扇の手」の二立ちが舞われます.
この舞は,浄められた舞処で舞われる最初の舞で,舞処を踏みならし舞い清めるものです.
式の御神楽 「式の舞」を舞った四名が舞います.式の舞と同じように最初ウタグラがうたわれます.
一立ち目はゆわぎを持って,
二立ち目はゆわぎを羽織り,閉じた扇と鈴を持って,
三立ち目は開いた扇と鈴を持って舞います.
てんでの舞 祭りに来ているもの全員が,竈の廻りで大きな輪になって舞います.
一立ち目はゆわぎを持って舞い,二立ちめは扇と鈴を舞って舞いますが,大勢のため押し合いへし合いで終わってしまいます.
本来は,祭りに参加するもの一人一人が,次々に出て舞う「順の舞」だったものが,全員参加で舞う形に変化したものと考えられています.
惣氏子の舞 てんでの舞に引き続いて,祭りに参加しているもの全員で舞われます.舞は,てんでの舞と同じです.
権現の湯 音頭取りと御湯を担当するもの数人が竈の周りに立ちます.音頭取りは湯タブサを,他のものは鈴を持ち,ウタグラをうたいながら湯を立てます.
この権現の湯は,主祭神である熊野権現に献げる御湯を立てます.
ゆげどう 権現の湯と同じように,音頭取りと数名のものが竈の周りに立ちます.ウタグラをうたいながら東・西・南・北・中央を御湯で清めます.
次の上げ湯のために,舞処を清めるものと言われています.
上げ湯 ゆげどうに続けて行われます.ウタグラをうたいながら東・西・南・北・中央の神に御湯を捧げるもので,八百万の神に御湯を捧げ終わったことを意味しています.
湯囃子の舞 二之宮の前で,右手に鈴,左手にヤチゴマを持って,四人で舞い始めます.後半では,釜の周りで舞います.最後には,ヤチゴマを釜の上に置き鈴だけで舞います.この舞は一立ちのみの舞ですが,動きも激しく一番見応えがあり,熟練したものが舞います.
この舞は本来,神々に立てる御湯を祝ぎ讃えて舞う舞で,かつては湯立ての前に必ず舞われるものでした.
伊勢の花の舞
ゆわぎの手
「伊勢の花の舞」は,天狗祭りをつとめた四人が,採り物を7つ持ち替えながら舞います.このことから「七立ち」とも云われます.
始めは,白のゆわぎを持って舞います.終わり近くにゆわぎを舞処の中央に置き,両手で着物の袖口をつかんで一舞して終わります.
伊勢の花の舞
綾笠の手
後見から綾笠を受け取り,左手に持って舞います.
伊勢の花の舞
剣の手
「綾笠の手」で手に持って舞った綾笠をかぶり,後見人から抜き身の剣を受け取り右手に鈴,左手に剣を持って舞います.終わり近くには剣を後見人に渡し,左手で着物の袖口を持って舞います.
伊勢の花の舞
神酒注ずの手
綾笠をかぶったまま,後見人から神酒注ずを受け取り,注ぎ口に挿してある紙をとって,これで神酒注ずを包み込み,左手に持って舞います.終わり近くには神酒注ずを後見人に渡し,手で着物の袖口を持って舞います.
伊勢の花の舞
膳の手
綾笠をかぶったまま,後見人から膳(正方形のお盆のようなもの)にのせたオハタキを膳ごと受け取り,オハタキを紙にくるんで膳にのせます.これを左手に持って舞います.終わり近くには膳とオハタキを後見人に渡し,手で着物の袖口を持って舞います.
伊勢の花の舞
扇の手
綾笠をかぶったまま,閉じた扇を持って舞います.扇は両手に捧げ持ったり,左手に持ち替えたりして舞います.
伊勢の花の舞
開扇の手
やはり綾笠をかぶったまま,扇の手で持って舞った扇を開いて,左手に持ち,右手には鈴を持って舞います.
御神楽 舞を舞いたい希望者や,後継者育成のために数番が舞われます.したがって,舞の数は年によって異なります.
舞はウタグラがないだけで,式の御神楽と同じです.
湯囃子の舞 「伊勢の花の舞」の前に舞われた湯囃子の舞と同じです.
御神楽 舞を舞いたい希望者や,後継者育成のために数番が舞われます.したがって,舞の数は年によって異なります.
舞はウタグラがないだけで,式の御神楽と同じです.
「どんずく」から「女郎面」までは「お能様」といわれる面の舞になります.
どんずく 面の舞の最初は「どんずく」といわれる,二人立ちの獅子の舞です.太鼓の拍子が「ドンドンズクズク」と聞こえることからこの名がつけられたと言います.
釜の周りを回るとき,見物人からみかんが差し出されるので,それを食べる仕草をし,五方を拝して舞処を2回まわり,退場します.
この獅子舞は,面形の舞の始めに登場し,舞処を祓い清めるものと言われています.
鬼神 鬼神の面をつけ,麻で作った髪の毛のようなものをかぶり,上衣は後ろ前,たすきどりに着て,手には上衣を巻いた1メートルほどの木の棒を持って登場します.
二之宮の前で五方に舞い,舞ながら釜の周りを回ります.次に,手に持っていた棒を腰に差し,左手に榊と扇,右手に鈴を持って舞います.この時,氏子数人も鬼神と同じものを持ち,ウタグラをうたいながら舞います.最後は,再び棒に持ち替え,退場します.
山からの来訪神として,村人に新しい魂を与えに来た祖霊神か?
兄弟鬼 赤い装束に,白い紐帯をし,草鞋を履き鈴と榊を背中に差し,鉞を持って登場します.まず,兄鬼が舞処に出て,二之宮の前で,左右の足を交互に後ろに跳ね上げて(反閇を踏んで)五方に舞います.
次に弟鬼が舞処に下りてきて,兄鬼と同じように舞います.
暫くすると,兄弟揃って舞います.二之宮の前で鉞を置き,腰に差した鈴と榊を取り出し,鉞を研ぐ真似をしたり,兄弟揃って鉞を振り上げたり勇ましく舞って,退場します.
この兄弟鬼は,山の木を切って木材を作り出す課程を舞っているといわれ,年に一度山から村人を祝福しにやって来る神と考えられています.
禰宜 着物の上に,しろい上衣と袴姿.右手には鈴と榊,左手で1メートル位の御幣を担ぎ,白い禰宜面をつけて登場します.舞処を左右によろよろと歩き回り,二之宮の前で座り,五方に向かって御幣で祓い拝みます.また,立ち上がってよろよろと歩き回り,見物人の前で座って,御幣で祓い拝むことを繰り返します.
その間に,はなうりが舞処に下りてきます.禰宜は頃合いを見計らって退場します.
人間として一番神に近い翁が,御幣を担いで舞処に現れ,神からの祝福とお告げを,村人にもたらすものと考えられています.
はなうり 禰宜と同じ衣装に,木刀を腰に差し右手に鈴,左手に扇子と榊を持ち,黒いはなうり面をつけて登場します.舞処に現れると,「ホロロロロロ,ホロロロロロロ…」と叫んで,縦横に跳びまわります.両手を挙げては跳び上がり,自分の鼻をつまんで,見物人に投げつけるような仕草をします.
鼻をつまんでは,見物人に投げつけるような仕草を繰り返すことから『はなうり』といわれます.このはなうりは,禰宜(白尉)に対して黒尉といわれる翁であり,二人の翁は共に村人に祝福と,神意を告げにきたものであると考えられています.
しらみふくい
女郎面
上半身はだかで,上衣を斜めに掛け,ほほかむりをしてしらみふくい面をつけて登場します.お囃子にのって,手をたたいては頭の後ろに回しながら,身体を一回転させて舞います.時々上衣をつかんでは振りまわし,身体を回転させます.舞ながらシラミがいて痒いので,身体のあちこちを掻く仕草をします.釜の周りを回り,囲炉裏の前で座り込み,火にあたりながらシラミを取ります.
しらみふくいが釜の周りを舞っている間に,青いおこそ頭巾,振り袖,広帯,白足袋に女郎面をつけた女郎面がしずしずと舞処にあらわれます.
しらみふくいは女郎面があらわれると,喜んで近づいて,袖を引いたりさわったりします.しばらくすると,後見人から渡された提灯をもち,女郎面の手を引いて,釜の周りをまわり退場します.
この舞は,神懸かって舞い狂うしらみふくいから,神意を聞き村人に伝える巫女の役を女郎面が果たしているのではないか.といわれています.
ごじんご 「清めのお湯」「宮清め」で,神に供えた赤飯を見物人に配ります.
神返し 本殿の右隅に置かれた太鼓の周りに,祭りに参加したものが集まり,太鼓に合わせて

『とんとんとびやうし かくのひやうしにのって
天下だる神神を 東へうって
もとのほんじえ かいらせ まいらせそうろう』

と「神返し」のウタグラを唱えます.
これは,舞処に呼び寄せた神々を,元の社に返す儀礼です.
しめきり 4日のみ
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