種下ろし祭文
シテ  明神のごくうでんの種おろしいたそうよ
ワキ  おお それようござろうよ
シテ  村中の種おろしいたそうよ
ワキ  おお それようござろうよ
同音  やあらたのし やあらたのし
     野も山も打ちひらいて田につくろってでー
同音  諸頭衆の中には白ひげの種あり 千石も万石もでー  (3べん)
同音  侍衆の中にはめっぽう ほうあって
     石の子の種あり 千石も万石もでー
同音  じょうろ衆の中には 十二ひとへの
     石の子の種あり 千石も万石もでー
同音  このほどに このほどに ふくの種まこよ
     おろろ おろろ おろろ                    (3べん)
シテ  せんじょう申す    ワキ  まんじょう申す        (3べん)
シテ  いいもりない     ワキ  さかもりない          (3べん)
シテ  いなずま米かめ   ワキ  我まずかめ
同音  おろろに おろろに ふくの種まこよ
     おろろ おろろ おろろ                    (3べん)
同音  てによく てによく てにてにつづいた            (3べん)
同音  うてめて 田うえて 黒めてで                (3べん)


シテは笛役    ワキは他の役者全員   同音はシテとワキの全員

※「新修名古屋市史 第九巻」より引用させていただきました。
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各役者の所作
それぞれの役者は、

(1)笛−侍烏帽子を被り、高下駄、藁で編んだ肩掛けをし、手には大きな笛型を持ちます。総まわりの時は列の先頭で祭文を掲げシテ役を務めます。

(2)獅子−二人立ちの獅子で、結界の中に敷かれたむしろの上で舞を奉納します。

(3)犬と鷹−二人の子どもの役が行います。犬役は餌を入れた籠を腰につけ、女竹で作った鞭を腰に差し、4輪のついた台の上にのせた白い犬を曳きます。鷹役は白い鷹を持って犬役と二人で結界内をまわり、むしろの上で籠の餌を犬と鷹に食べさせます。

(4)杵とコサ−藁を芯にした大根のような形のものを二つ、短い棒につり下げたコサ(杵についた餅をあらわす)を持ったコサ役と、臼に見立てた白い輪状のものを腰に付け、杵を持った杵役の二人が、結界内をまわり、むしろの上に輪状の臼を置き、杵役とコサ役が交互に「エッサ」「モッサ」と声をかけながら、餅をつく所作を行います。

(5)イミホコ−甲冑に身を固め、弦の張ってない弓を持ち、結界内を廻りますが、その時長い弓を観客の頭上を廻していくので、あたらないよう頭を下げます。3回廻って正面まで来ると、西側の結界外で焚かれていた篝火の灰を3回弓で掻きます。

(6)田行事−稚児役と田行事役の二人が行います。稚児役は赤い羽織を頭から被り、田行事役は「天下泰平」「五穀豊穣」と書かれた四角い団扇を持ち、鋤の天秤棒に人形を入れた種壷を吊るし、二人で担いで結界内を3周します。むしろの上に団扇を置き、種壷から人形を取り出し前に倒しながら「ネンネン、タウメテ、々、々」と唱えます。

(7)傘鉾−大きな傘鉾を右肩に担ぎ、三歩ずつ歩きます。結界内を3周しむしろの上で3回廻ります。

(8)射手−女竹で作った3メートルあまりの弓を持ち、左右に弓を振りながら3歩ずつ進み、結界内を3周します。イミホコと同じように、弓を観客の頭上を廻していくので、あたらないよう頭を下げます。正面に来ると、矢をつがえ恵方の方向に向かって「明けの方の鳥を一羽打とう」といって矢を放ちます。
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