蛭ヶ谷の田遊び
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. 矢納め ほた引き 里田打ち .
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本太刀振り 本太刀振りもどき 長本太刀振り 木長太刀振り 杵振り
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田打ち 牛ほめ .
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麦搗き 魚釣り 田植え 稲刈り
2009年2月11日.静岡県牧之原市蛭ヶ谷の蛭子神社で「蛭ヶ谷の田遊び」が行われました.
夕方18時から.ということなので,この田遊びについて下調べをしてから!と思ってお昼過ぎに出かけました.
伊勢湾岸東海ICから相良牧之原ICへ.そこからナビに従って牧之原市の相良庁舎へ.駐車場に車を止めて図書館に向かったのですが,入り口に「臨時休館」の張り紙が!!何てこった!ちゃんと牧之原市のホームページを見たのにそんなこと書いてない!建国記念の式典を行っている関係のようです.
では,近くに郷土資料館があるのでそこへ.しかし,ここもこの日は午前中で閉館!!
仕方がないので,気を取り直して蛭子神社に向かうことにしました.
ちょっと迷って蛭子神社に着いたのは16時前.蛭ヶ谷川の堤防道路に車を止めて様子を見に行く.
階段を上がった正面に階段があり,本殿があります.境内の右の方に材木とお正月のお飾りがうずたかく積まれています.どうやら,舞は本殿の階段下の境内で行われるようです.これなら場所取りの心配はありません.
車に戻って,暫くうたた寝.17時頃,途中で買っていった夕食の助六寿司を食べ,防寒具を着込み撮影準備をして出かけます.向かって右の方はたき火があって暑そうなので,左の方に脚立を置いて見ることにしました.
18時頃から神事が始まり,18時半過ぎにたき木に火が入れられます.回りがぱっと明るくなって,見物人も火の回りに集まってきます.
氏子の方から,『この辺りは「ほた引き」の時危険だから上に上がってくれ!』といわれ,脚立を片づけ,本殿がある石垣の上から見ることにしました.
19時少し前,いよいよ「矢納め」から田遊びが始まりました.
次第は
1.矢納め−梅の小枝で作った弓と矢を持ち,本堂に入ります
2.ほた引き「ほた小僧」という杉の葉を束ねた人形を一人が抱かえ,十数人で太縄を持ち,中に親方が入り,その回りを荒っぽく引き回します.
3.里田打ち−樽を中央に置き,その回りを十人ほどの若者が取り囲み,近隣の神を勧請する歌を歌いながら,樽を竹で叩きます
4.四方切り−東南西北の四方にむかい,地を鎮め祓い清める舞です.持ち物をそれぞれ変えて舞われます.
四方切りは唄も唱えごともなく,無言で淡々と進められていきます.5つの舞全部で,1時間半ほどかかります.中でも,最後の杵振りは35分近くかかる舞です.
4-1.本太刀振り−太刀を持って舞います
4-2.本太刀振りもどき−木刀を持って舞います
4-3.長本太刀振り−長い柄の付いた刀を持って舞います
4-4.木長太刀振り−長い柄の付いた木刀を持って舞います
4-5.杵振り−杵を持って舞います
5.田打ち−木製の鍬を持った三人の若者が,階段の前で,田打ちの所作を行った後,茶碗に山盛りにした飯を前に,田の神様を呼びながら食事をし酒を酌み交わします.非常に長い舞で1時間近くかかります
6.牛ほめ−木の樽の上に,茶色の上着を頭からかぶった者が伏せ,牛に見立ててます.その後,杉の葉を束ねた物を持って舞います
7.麦搗き−孕み女と,白い紙で作った綾笠をかぶった男の二人が登場し,杵で麦を搗きます
8.魚釣り−麦搗きに続けて行われます.竿を持った二人が,孕み女の前で魚を釣り上げます
9.田植え−孕み女,その亭主,ほた小僧を背負った子守,菅笠をかぶった手伝い3人が,杉の小枝を持ち,葉をちぎって,後に放りながら輪を作って廻ります
10.稲刈り−木製の釜を持った3人が,稲刈りをします
の14の舞からなります.
舞を行う人は,おおむね頭には,周りに白い和紙で作った紙垂の飾りが付いた綾笠をかぶり,茶色の着物に白の襷をかけ縞模様の袴をはいています.
この蛭ヶ谷の田遊びの一番の特徴は,太鼓とか笛が使用されません.唄と唱えごとのみで淡々と進められていきます.四方きりでは本太刀振りから杵振りまで1時間半近くかかりますが,唄も唱えごともなく無言で進められていきます.舞も動きがきわめて少なく,まるで能楽を見ているようでした.
最後の稲刈りが終わったのが23時少し過ぎ.
取りあえず,車のトランクに荷物を放り込んで出発.帰りは一般道を走ろうと思い,国道150号線から,国道1号,国道23号で27時過ぎ.無事帰り着けました.
田遊びとか田楽などの芸能は,舞,唄,唱えごととともに田打ち,代掻き,籾撒き,田植え,稲刈りなど農耕の模擬演技をするもので,その年の豊作を願う予祝神事です.
この蛭ヶ谷の田遊びは,「お田打祭」とか「ほた引祭」とも云われ,いつ頃から始まったか詳しくはわかりませんが,鎌倉時代から行われていると云われ,静岡県の無形民俗文化財に指定されています

「蛭ヶ谷の田遊び」が行われた蛭子神社はこちらMap
「山車とまつり」もご覧ください→ 『蛭ヶ谷の田遊び』