保呂羽山霜月神楽
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神楽座 01楽器調べ 02修祓式 03花入の式 04打鳴 05大祓
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06けんざん湯清浄 07五調子 08湯加持 09天道舞 10湯加持 11伊勢舞
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12湯加持 13保呂羽山舞 14湯加持 15御嶽山舞 16湯加持 17高丘山舞
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18中入 19山之神舞 20神入舞 21湯加持 22辺津神舞 23湯加持
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24壱之釜湯立式 25湯加持 26弐之釜湯立式 27湯加持 28参之釜湯立式 29剣舞
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30祝詞 31奉幣式 32奉幣式舞 33お供頂戴 34神送 35恵比寿
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36打ち身 .
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2014年11月7日〜8日。秋田県横手市大森町八沢木字木ノ根坂200の保呂羽山(ほろはさん)波宇志別(はうしわけ)神社の里宮で、午後7時頃から翌朝6時頃まで『保呂羽山霜月神楽』が奉納されました。
東北の神楽を一度拝観したいと思って、国指定または国選択のものを、ネットで調べていたのですが、徹夜で奉納される横手市の保呂羽山霜月神楽が目に止まりました。
調べてみると、11月の7日〜8日。夜7時から翌朝6時までの徹夜の神楽。しかも国指定です。秋田空港から40キロ程度。中部空港から秋田空港へは朝と夕方の2便があります。朝の便は秋田着8時45分。帰りは秋田発17時35分。秋田空港〜波宇志別神社里宮は約40キロ。1時間半もかかりませんので、これなら0泊でも大丈夫そうです。
もう少し調べてみると、途中というか、近くに角館があります。秋田空港〜角館は約40キロ。角館〜波宇志別神社里宮も約40キロ。これなら角館に寄れそうです。まあ、折角なのでもう1泊して…とも思ったのですが、このあたりには、それ程までにして見たいものはないので、0泊。7日と8日に角館を見られれば充分。と思い、レンタカーと航空券の予約をしました。
11月始めの気候がわからないので、トヨタレンタカー秋田空港店に問い合わせたら、「この時期スタッドレスに付け替える時期です。」ということで、スタッドレス付きの車にしていただきました。

まあ、暑ければ脱げばいいや!と思って薄いセーターを着ていったのですが、秋田空港に着いたら「寒い!!」
紅葉には少し遅い角館で、3時頃まで。武家屋敷あたりを充分見ることができました。
途中「保呂羽の里資料館」に寄りました。すぐ横に国の重要文化財の波宇志別神社の神楽殿があります。資料館は無人。扉を開けると照明が付いて、見学することができますが、まあ、無人にするくらいなので、それ程参考になるものはありませんでした。
5時前に波宇志別神社の里宮に到着。外見、普通の家のように見えます。中に入ると、まだ人もいなくて閑散としています。日が落ちると、外はさすがに冷えますが、里宮は入り口もちゃんと戸が建ててあるし、ストーブも用意されているので、それ程寒さは感じませんでした。

里宮内部は、正面に神殿。その手前に少し高くなった畳敷の間があります。ここに二つの釜が備えられています。その手前の板張りの間が神座で、弊や神饌などが置かれています。右手は神楽主・楽人・神子の席。左手と正面手前は楽人の席です。拝観席は、左手と正面手前で、神楽座とは太い竹の棒で仕切られています。
19時半頃。楽人さん方が席について、楽器調べが始まります。
続いて、修祓式、花入の式…と、神楽が進んでいきます。

神楽の基本の形は、「湯加持」の後、神子の「○○舞」の繰り返しになります。上の画像では、例えば『08湯加持』、『09天道舞』としてありますので、別々の舞のように受け取られるかと思いますが、資料によっては「湯加持天道舞」と表されているものもあり、これらは対になるものです。
この、「○○の舞」では天冠を被り、緋の舞衣と緋袴、錦地模様のちはやを着けた神子の舞で、振りも殆ど同じように見えました。ただ、舞ながら唱える歌の歌詞は、それぞれで違うようです。この「湯加持」「○○の舞」というパターンが何度も繰り返されます。
途中休憩(中入り)が入って、午前1時頃。神楽中最重要な舞といわれる『山之神舞』が、鳥甲、白狩衣、軽袗、に襷掛け、三十六童子、山男の紙幡を背中に差した、楽人によって舞い始められます。この舞は時間も40分余りで、非常に高度な技術・体力を要するそうです。

午前7時。「打ち身」が終わり、無事すべての行事を、奉納することができました。

外に出ると、車のウインドウは霜で真っ白。寒さに震えながら、エンジンをかけ暫く暖機して霜を溶かし出発。途中30分くらい車の中で仮眠。
9時前に再び角館の町へ。モーニングコーヒーでも。と思って町中を歩いても、開いているお店は無し。仕方がないので、コンビニでサンドウィッチと缶コーヒーを買って、寒さに震えながら桧木内川の堤防で朝食。何だか惨めな気持ちに…
再び、武家屋敷と外町を隅から隅まで歩いて、昼食後、秋田空港へ。
レンタカーを返して、16時10分のフライトで名古屋へ。
0泊2日。超特急の、保呂羽山霜月神楽の旅は無事終了。12時間に及ぶ、夜を徹しての東北の神楽に、感激し、大満足でした。

この日、yoshikは6Dと50Dの2台体制。6Dには24-105mmF4、50Dには少し明るいタムロンの28-75mmF2.8を付け、もちろんフラッシュは無し。かなり暗くて、ISO12800まで使用しましたので、画質が荒いですが、ご容赦ください。

『平鹿郡大森町波宇志別神社の11月7日の祭りに行なわれる湯立神楽の一種で、保呂羽山、御岳、高岡の三山の神霊を勧請して、神主家の神楽座において、古風な神事芸が徹宵して行なわれる。祭壇近くに二つの湯釜を置き、天井には種々の形の幣やしめ縄を張りめぐらす。まず神おろし、招魂、祝詞などの前行事の後、「五調子」「湯加持」「天道舞」「伊勢舞」「保呂羽山舞」などの曲がつぎつぎに舞われる。この芸能は湯立神楽として、組織が大きく、形式もよく整い、地方的にも特色あるものである。』という趣旨で1997年5月17日に国重要無形民俗文化財に指定されました。

「山車とまつり」もご覧下さい→保呂羽山霜月神楽
波宇志別神社里宮はこちら→秋田県横手市大森町矢沢木(Map)

角館の画像はこちら→角館
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