宮崎県西臼杵郡高千穂町上野黒口・黒口神社 高千穂神楽
2012年11月24日(土)〜25日(日)。宮崎県臼杵郡高千穂町上野黒口の黒口神社の神楽を拝観しました。22日(木)〜23日(金)お隣の上野玄武の上野神社の神楽に続いての拝観です。

「神楽なくして夜の明けぬ国」といわれる宮崎県ですが、三つ以上の演目を持つ神楽が残されている地域は、約350か所とも云われ、そのうち高千穂の夜神楽と云われる神楽は、現在でも20余か所で行われています。
収穫への感謝、冬至前後の太陽の復活を祈る鎮魂儀礼、来る年の五穀豊穣を願う予祝の意味を持って行われ、里毎に氏神様をお招きして、夜を徹して33番の神楽を奉納するもので、修験者等によって平安末期から鎌倉時代にかけて、始められたと云われています。

各神社の氏子集落内の民家(最近は公民館等で行う地域が増えました)を夜神楽の会場(神楽宿)とし、屋根に湯宮と山冠・立冠・横冠の3本の御幣を立て、庭には「山」といわれる外注連が設けられます。そして、神楽宿の中央の部屋には、神庭といって二間四方の内注連が設けられています。神庭の四隅には竹と榊を立て、注連縄と「彫り物(えりもの)」が飾られ、天井の中央には高天原を象徴する「雲(天蓋)」が吊られ、天に近い「山」に降臨し、注連を伝わり「神庭」に舞降りてきた神々に神楽が奉納されます。
「彫り物」は中央の鳥居、子授安産豊穣の「湯襷(ゆだすき)」、自然界の中央の土徳神、四方の木・火・金・水徳神、十干十二支等の切り絵が配され、神仏習合の陰陽五行の影響がみられます。

当日は、黒口神社で神迎えの神事が行われたあと、御神体を御輿に移し、集落を練り歩き神楽宿に向かいます。道行きの一行は、神楽宿の庭に設けられた山の周りを三回まわった後、神庭に入り神事を行い直会のあと、いよいよ33番の神楽が始められます。
神楽は面様を用いた「面神楽」と、面様を付けない「素面」の舞がありますが、「面神楽」は神話にちなんだ劇的な舞で、素面の舞は清祓い・鎮魂・豊穣祈願・子授安産等の願神楽として奉納されます。
演目の順序は最初の「彦舞」と最後の「雲下し」は、ほぼどの地域でも同じですが、途中は地域によって違いがあり、時には省略されることもあります。

高千穂の神楽は、一括して国の重要無形民俗文化財に指定されています。

「おまつり見てある記」もご覧ください→黒口神社「高千穂神楽」
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その1 その2 その3 その4 その5
黒口研修センター/舞入れ/神事/彦舞/御小屋/太殿/神降/鎮守/杉登/ 鎮守/地固/幣神添/沖逢/八鉢/袖花 五穀/太刀神添/七貴神/住吉/御神体/鞭神添/本花 岩潜/地割/山森/大神/弓正護/火の舞 柴引/伊勢/手力雄/鈿/戸取/舞開/注連引/注連口/雲下
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参考資料 「宮崎の神楽」
祈りの原質・その伝承と継承
「神楽三十三番」
高千穂夜神楽の世界
「高千穂の夜神楽」
祈りと伝承の里