静岡県浜松市天竜区懐山・泰藏院  懐山おくない
2013年1月3日。静岡県浜松市天竜区懐山の泰藏院で「おくない」が行われました。
このおくないは、いつ頃から行われていたかは定かではありませんが、1400年代懐山の集落が生まれた頃には、すでに行われていたと伝えられていて、江戸時代に、現在行われているような形になったと云われています。
静岡の北遠、長野の南信、奥三河の天竜川沿いの山間地には、古くからの田楽芸能が多く残されていて、「おくない」もその一つです。
舞はいたって素朴で、複雑な所作は殆どみられません。東・西・南・北・正面それぞれの神に奉納する「五方の舞」を基本に、二十余の舞が上演されます。中には馬が出てきたり綿や塩を買う様子など、懐山の昔の暮らしを表現した生業(なりわい)系の演目が多いのが特色といわれています。

懐山地区の全世帯で保存会を結成して、おくないの継承が行われています。が、この地方でも、過疎化の波にさからえず、この日も高齢の方9名のみで奉納され、継承が危ぶまれます。
隣接する引佐町の「川名のひよんどり」「寺野のひよんどり」との共通点が多く、一括して「遠江のおくないひよんどり」として1994年12月に国の重要無形民俗文化財に指定されました。

前段の祭事として
1.不動様の水汲 2.牛玉法印 3.面清め 4.阿弥陀様の祭 5.三三九度の杯 6.伽藍様の祭

懐山おくないの舞として
1.神の舞 2.三ツ舞 3.槍の舞 4.槍のもどき 5.剣の舞 6.剣のもどき 7.両剣の舞 8.両剣のもどき 9.翁 10.松かげ 11.宵の獅子 12.鬼の舞 13.仏の舞 14.年男 15.火王さま 16.鞠のかがり 17.四節の四季 18.松竹 19.田打 20.みの口 21.田打洗 22.苗草取 23.草敷 24.種撒 25.鳥追い 26.麦米搗ひる洗う 27.田遊 28.山家田遊 29.肥ならし稲刈 30.女郎の舞 31.稲叢 32.駒の舞 33.猿追い 34.桑とり 35.綿買い 36.いとくり 37.塩買い 38.悪魔払い 39.夜明けの獅子 40.舞い納め
が行われていましたが、現在ではその中から20あまりの神事・舞が奉納されます。
なお、「翁」、「松かげ」は詞章のみ奥の阿弥陀様の前で唱えられますので、画像はありません。

「おまつり見てある記」もご覧ください→懐山おくない
その1 その2 その3
三三九度の杯/神の舞/伽藍様の祭/三ツ舞/槍の舞/槍の舞もどき/片剣の舞 両剣の舞/片剣の舞もどき/宵の獅子/年男/猿追い/仏の舞/女郎の舞 鬼の舞/駒の舞/稲叢/綿買い/夜明けの獅子/田植え
  
参考資料: 県指定無形民俗文化財
「懐山おくない」
国指定無形民俗文化財記録
「懐山のおくない」