豊川市財賀町観音山3・財賀寺 お田植え祭り
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2015年1月3日。豊川市財賀町観音山3の財賀寺でお田植え祭りが行われました。
陀羅尼山財賀寺は、神亀元年(724)に僧行基によって創建されたと伝えられています。鎌倉時代には、三河七御堂の一つに数えられる由緒あるお寺です。
財賀寺のお田植えまつりは、元禄9年(1696)の「田祭り案文」と宝暦二年(1752)に住職が書き残した「観禳田記」にその内容が記されていることから、これ以前から行われていたと考えられています。
ここ財賀寺でのお田植えまつりも、他の田楽、お田植えまつりと同じように、田打ちから始まり苗代かき・田植えなど、農耕作業を模擬的に演じて、本尊の千手観音菩薩に、今年の五穀豊饒・家内安全などを祈るものです。

祭りは
司祀(太夫)−この祭りの主人公。一人。
田o(奉行)−田を見回る役人。一人。
田夫−農夫。三人。
撃鼓−太鼓を叩く人。一人。
携樽者−酒樽を持って出る人。一人。
饂者−田に弁当を運ぶ人。一人。
為負児婦者−幼児を背負う女の人になる人。一人。
為摧者−白牛になる人。一人。
駆牛者−牛つかい。一人。
の11人で行われます。
司祀、田oは裃、袴、白足袋、編み笠、白扇。残りの9人は白張り、袴、白足袋、菅笠の身なりです。

午後2時少し前、奉仕者一同内陣で祈祷を行った後、2時から外陣の中央に、田に見立てた太鼓を置き、司祀の挨拶の後、お田植えまつりが行われます。
1965年に豊川市の無形民俗文化財に指定されました。

祭りの次第は、画像の下段をご覧下さい。

「おまつり見てある記」もご覧下さい→財賀寺お田植えまつり
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財賀寺
No01 No02 No03 No04 No05 No06
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1.田打ち
No07 No08 No09 No10 No11 No12
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2.苗代かき
No13 No14 No15 No16 No17 No18
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3.苗草
No19 No20 No21 No22 No23 No24
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4.大足
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No25 No26 No27 No28 .
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5.種籾蒔き
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No29 No30 No31 No32 No33 .
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6.植代かき
No34 No35 No36 No37 No38 No39
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7.苗とり
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No40 No41 No42 No43 No44
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8.田植え
No45 No46 No47 No48 No49 No50
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9.昼飯持
No51 No52 No53 No54 No55 No56
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No57 No58 No59 .
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右のサムネイル画像をクリックすると,他の獅子舞祭がご覧いただけます
参考資料  愛知県の民俗芸能
−愛知県民俗芸能緊急調査報告−
     愛知県教育委員会
豊川市史 第9巻 民俗
    

祭りの次第
1.田打ち 奉仕者一同が、鍬に見立てた樫の杖を持って、太鼓に合わせて【ようしんや たをつくる かどたんをつくる ようしんや かどたんより いりまんするともに ようしんや …】の歌を唄い太鼓の周りを2回廻り、元の位置に戻って、次の歌を唄う。
【はるたにおりるなら とうみょうさのはおみょう てにてにつみいれて …】
2.苗代かき 田oと呼ばれる奉行が、杖を笠餅にさした物を左肩に担ぎ、右手に白扇を持って太鼓の正面に行き、【よなんどうよ】と、唱えて太鼓の周りを1周して正面で止まり、【よなんどうよ】ととなえます。更にもう1周して【よなんどうよ こんねんのあまんどし かんのんの いちのつぼたの …】と唱えると、司祀も【よなんどうよ こんねんのあまんどし かんのんの いちのつぼたの …】とおなじ文句を唱えます。これは、田o、司祀からの「よい苗を作りなさい」という、農夫たちへの励ましの言葉です。
次に、白牛の面をかぶった為摧者が登場し、司祀が先導し、馬鍬を持った駆牛者が後をとり、牛が【もー】となくと駆牛者が【これがしんどり】、司祀が【これがはなどり】と交互に唱えながら、太鼓の周りを2回廻ります。
3.苗草 司祀と田夫の一人が、苗に見立てた杉の葉を持ち、「なえぐさ」と唱えながら、太鼓の周りを2回廻ります。その間に、杉の葉を太鼓の上に投げて、肥やしの苗草を田に入れる所作をします。
4.大足 司祀と田夫の一人が、白扇を持って向かい合い、四股を踏みます。苗草を田の中に踏み込む所作を行います。この時、【おおあしのころは こあしふみふむよ おおあしのころは こあしふみふむよ …】と、全員で唱えます。
5.種籾蒔き 司祀が、種籾が入った桶を持ち、種蒔きの所作を行います。太鼓の正面で【かんのんのいちのつぼのよきわせのたね どんぶ どんぶ】と唱えた後、太鼓に種籾を蒔きながら、太鼓の周りを1周します。次に、再び太鼓の正面で【まんざん みだいしのきょうぶくろのたね どんぶ どんぶ】と唱えた後、同じ所作を行います。続いて【まいりどう まいりたまうとう とくだんの …】と、唱えた後、同じ所作をします。
次に、司祀が【きんじょうさんぐ さいはい さいはいとうやまってもうす …】と、今年の豊作を祈願する祝詞を、太鼓の正面で読み上げます。
6.植代かき 田oが、笠餅を左肩に担ぎ、右手に白扇を持って太鼓の前に立ち【よなんどうよ】と唱えます。同じ所作を行って太鼓の前に立ったとき、【よなんどうこそ いいさけにめいていしたり あっぱれなえやよいなえや うえばったったりや …】と唱えます。続いて司祀も【ふくづかのまんごうしまんごうま しんどりはなどり たちおとこさおとめ …】と、唱えます。
続いて、代かきの所作が、苗代かきと同じように行われます。
7.苗とり 田夫3人が、苗に見立てた杉の葉を、正面へ取りにゆきます。この時、皆で【あさなえとる おなごのてはなてにてぞゆく ひかれてぞゆくは わがとるなえは …】と、唱えます。
8.田植え 苗に見立てた杉の葉を、正面の畳の上に並べていきます。この時【あさはかに とみるたをうえる てにてぞゆく ひかれてぞゆくな …】の歌を皆で唄います。
その後、田oが笠餅を担ぎ、右手に白扇を持ち、太鼓の正面に立ち【よなんどうよ さけのいずみでしろうしあらい いいのやまにおいあげようぞ】と唱えます。次に、正面で司祀・駆牛者が【ざんぶ ざんぶ ざんぶ ざんぶ …】とかけ声をかけながら、白牛を洗う所作をします。
その後、【つるとかめとのおんいわい つるとかめとのおんいわい つるとかめとのおんいわい】と、皆で唱えます。
9.昼飯持 内陣から、饂者が赤飯の入ったお櫃を風呂敷に包んで。また、為負児婦者が白襦袢にくるまれた、木製の赤子オコゾウサマを抱いて登場します。
為負児婦者が【腹減った】と、赤飯を食べさせ、次に【しいこしよ】と、参拝者に向かって小便をかける所作をします。
お田植えまつりが始まる前、襦袢を家から持ってきて、オコゾウサマに着て貰って、終わってからその襦袢を赤ん坊に着せると、丈夫に育つといわれています。また、オコゾウサマを抱かせて貰うと、丈夫な赤ちゃんが授かる。とも云われています。
オコゾウサマに赤飯を食べさせた後、参拝者にもアオキの葉に赤飯をのせて配ります。また、供えてあったお菓子や、笠餅も小さく切って配られます。
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