廿日会祭稚児舞楽
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振鉾 . 納曾利 . 安摩 . 還城楽 . 太平楽
4月5日(土).静岡市の静岡浅間神社の廿日会祭(はつかえさい)で行われる稚児舞楽を見てきました.
JR東海道線で金山から浜松乗り換えで静岡へ.往きは2時間40分位.帰りは,豊橋でも乗り換えがあったので3時間弱.でした.往きも帰りも割に混んでいたのですが,すべて座ることができて,ラッキーではありました.でも,3時間近く電車に乗っているのも疲れます.
静岡浅間神社はJR静岡駅の北口を出て,松坂屋の前の広い道を北西に進むと,右手に駿府公園があります.その先の大鳥居をくぐると参道で,ちょうどこの日は歩行者専用道路にしてあり,露店が軒を連ねていました.その奥に浅間神社があります.静岡駅から徒歩約30分です.ちょっと距離がありますね.バスに乗ってもいいのですが(帰りはバスに乗った)渋滞で時間的には歩いた方が早いようです.
舞殿は拝殿と楼門の間にあり,拝殿から渡り廊下が渡されていました.舞台は約1メートル20センチくらいの高さです.舞殿の前はかなり沢山の見物人が折り畳みイスに座って見ていましたので,舞殿の角の邪魔にならないところを見つけ,撮影しました.祭りの撮影は,うまく場所を確保しないと,後ろ姿ばかりになったり,前の人の頭が入ったりしてしまいます.また,他の人の邪魔にならないように!しなければいけないので,始めての所では,なかなか難しいです.

ちょうどこの日は,駿府公園を中心にして,静岡祭りが行われていて,町は祭り一色でした.
この廿日会祭は4月1日から5日まで行われますが,旧暦2月20日に行われていた「お会式」が起源で,例大祭・昇祭・降祭・古式稚児行列・お踟(おねり)・御輿渡御・稚児舞楽など,多彩な奉納行事,神振行事が行われます.
今回メインの,稚児舞楽の起源ははっきりはしませんが,450年ほど前には建穂寺の稚児舞楽を浅間神社に奉納していたことが,山科言継の日記に見られるそうです.その後,戦国時代に途絶えましたが,徳川家康が復活させ,稚児の舞楽装束・楽器・輿・太刀などが下賜され,隆盛を見ました.
舞を舞う稚児は小学生から4人が選ばれ,山吹,桜を挿した天冠を被り,額には胡粉で月形の印を入れ,古式そのままの豪華な衣装をつけて,午後3時半頃から約1時間.「振鉾」,「納曽利」,「安摩・二の舞」,「還城楽」,「太平楽」の五段を舞います.

約1時間の舞でしたが,真剣に舞う子どもたちの姿に引きつけられ,あっという間に終わってしまった感じでした.神宮,一宮の真清田神社など,大人が舞う舞楽も見ましたが,やはり子どもが舞うのは,緊張感があって素晴らしいと思います.
この稚児舞楽は静岡県の無形民俗文化財に指定されています.
また,静岡県には森町の小國神社,天宮神社,山名神社に稚児が舞う舞楽が伝えられています.
    
振鉾(えんぶ)」−舞楽の最初に必ず舞われる舞です.二人で鉾を持ち悪魔を調伏し場を浄める舞です.
   
納曽利(なそり)」−右方の舞.青緑色系の衣装を付けます.二匹の竜が戯れ遊んでいる様を表したものです.
普通は二人の舞ですが,浅間神社では一人で舞い,一人で舞うのを,現在では一般に落蹲(らくそん)といいます.右手に短い銀色の桴を持って舞います

安摩・二の舞(あま・にのまい)」−左方の舞で赤色系の衣装を付けます.「安摩」は,笏を持ち普通は雑面をつけますが,ここでは素面で舞います.途中で咲面と腫面を付けた爺・婆が登場し安摩の舞を真似るのですが,どうしてもうまく舞えず滑稽になってしまいます.この舞を「二の舞」といい安摩の組舞です.
他人のまねをして失敗することを,この舞から「二の舞を踏む」とか「○○の二の舞」などといいます

還城楽(げんじょうらく)」−左舞で赤色系の衣装を付けて舞います.蛇を好んで食べるという中国西域の人が,蛇を見つけて喜ぶ様を舞にしたものです.

太平楽(たいへいらく)」−左舞で赤色系の装束を身につけます.始めは鉾を持って舞い,次に太刀を抜いて舞います.泰平を祝う舞で,即位礼の祝賀に舞われる舞です.
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「山車とまつり」の「廿日会祭稚児舞楽」はこちら→「廿日会祭稚児舞楽」