上野間祭り上野間祭り
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3月27日(土)28日(日)の2日間.知多郡美浜町上野間にある野間神社の祭礼が行われました.このうち28日(日)にこの祭りを見に行きました.野間神社は名鉄知多新線「上野間」駅下車.北西約500mの小高い丘の上にある神社です.上野間の祭礼は元禄年間(1688〜1703)に始まったといわれています.
この祭りの一番の見所は野間神社まで続く100m近い坂の上げ下ろしです.上げるときは山車の引き綱以外にもう1本綱を山車に巻き付けて数m曳き上げては休憩.また数m曳き上げては休憩.ということを繰り返します.また,下ろすときは直径10cm位の太い綱を山車にくくりつけ,一方を土管に巻き付け徐々に緩めて下ろします.
上野間の山車は2輛とも「知多型」の山車で上山にからくり人形が載せられていますが,浄瑠璃を人形を使って行うという他ではあまり見られないものです.また,人形は上山に備えられた「大まわし」と呼ばれる回転する2本の出樋がありその上でも演技します.同じような形式の山車は常滑市の坂井の松尾車に見られます.

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No01〜02:お昼頃山車を下ろすとき使う綱を積んだ台車がお囃子とともに曳き上げられてきます
No03〜05:山車にくくりつけられた綱は土管に巻き付けられ徐々に緩めて山車を下ろしていきます
No06:綱の下にはころの役割をする丸太があてがわれます
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四嶋組山車
旧車は安政の上野間大火で消失.現在の山車はそれ以降に再建されたものです.
山車は幅2m,長さ2.4m.
【主な彫刻】壇箱−力神,海常と鶏(立川和四郎冨昌門人中野甚右衛門作)
【幕】大幕−緋羅紗     水引幕−羅紗地に鶴
【からくり】−上山で行うからくり人形芝居
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No07〜09:地区内を曳き回される山車
No10〜12:いよいよ曳き上げ.曳き綱がもう1本追加されます.ハンド綱は左右各2本です.
No11:数m引いては休憩.すぐ輪止めが入れられます
No12:ハンド綱と水引き幕.座布団が吊り下げられていますが何のためでしょう?
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No13:後楫方
No14〜16:野間神社前で休憩中の山車
No14:台輪と大幕.前楫には横方向の楫が付けられています.
No15:上山と吹き流し・鳥毛.上山屋根の幅に比べて四本柱の間隔が狭いので不安定な感じがします
No16:前山の唐破風と上山高欄廻りの彫刻
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浄瑠璃外題『楓狩妹背御鏡 山賊退治之段』(あらすじ)
人形は大将坂上惟茂郷,鬼女実は惟茂郷を恋する娘,盗賊轟太郎の三体を15名で操ります.作者・制作年代とも不明です.
No17:坂上惟茂郷は雲道と呼ばれる天井に張った糸に吊り下げられ上山後方から登場
No18〜19:盗賊轟太郎
No20:中央に坂上惟茂郷.左の大まわしには娘.右の大まわしには盗賊轟太郎.この大まわしは一方の端が高欄の隅にあり,ここを軸にして約270度回転します
No21:鬼女実は惟茂郷を恋する娘
No22:鬼女の面と衣装を替えた姫
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No23:姫は2羽の鶴が飛び交う平絵に変身
No24:坂上惟茂は日の出の平絵に変身
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四嶋組山車
旧車は安政の上野間大火で消失.現在の山車は安政5年(1858)に再建されたものです.
山車は幅2m,長さ2.4m.
【主な彫刻】壇箱−力神,粟穂にうずら(立川和四郎冨昌門人中野甚右衛門作)
【幕】大幕−緋羅紗     水引幕−黒羅紗
【からくり】−上山で行うからくり人形芝居(竹田藤吉作)
No25:野間神社の坂道に向かう山車
No26:坂上げ中の越智組の山車
No27:前山の虹梁,蟇股,斗形,木鼻などの彫刻
No28〜30:神社前で休憩する越智組の山車
No29:前山の唐破風と上山高欄廻りの彫刻
No30:つま台輪と引き綱.前楫には横方向の楫が付けられています
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No31:坂を下ってくる山車を下から見たところ
No33〜34:無事坂を下った山車.下りは中央にもう1本ハンド綱が付けられています
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浄瑠璃外題『田村川神亀の釣竿 源義経日之出車 源氏烏帽子折之段』(あらすじ)
人形は大将源義経,五郎太夫の娘東雲,監物太郎とその馬の四体を15名で操ります.
作者は名古屋の竹田源吉で安政5年8月の作といわれています.
No35:四嶋の山車と同じように義経は雲道と呼ばれる天井に張った糸に吊り下げられ上山後方から登場
No37:五郎太夫の娘東雲
No38:平家の追っ手監物太郎
No39:樋が2つに割れて監物太郎が馬を下りて東雲と渡り合う
No40:監物太郎はかなわぬと思って再び馬に乗って逃げ出す
No35 (188kb) No36 (133kb) No37 (152kb) No38 (221kb) No39 (225kb) No40 (211kb)
No41:東雲は梅の咲く平絵に変身
No42:義経は五葉の松の平絵に変身
No41 (215kb) No42 (222kb)
参考資料 「知多の山車祭り」
「立川流の山車と彫刻」
「美浜町誌」
「武豊・美浜・南知多町のからくり人形」