黒澤田楽の次第
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(12みのくち,13おきな,14まつかげ,15さんばそうは歌ぐらが非常に長文のため省略しました.「鳳来町誌」をご参照下さい)
01鎮守の舞 この舞は『順(ずん)の舞』,『五番の舞』,『お願(がん)の舞』とも言われます.羽織袴に白の浄衣を着た四人が正面の阿弥陀に向かって座り,鎮守の歌ぐらを読みます.一人が鈴と扇を持って,囃子に合わせて正面・東・南・西・北の五方に舞います.
02阿弥陀の舞 三人が阿弥陀の歌ぐらを読み,三人が交代で舞います.舞の内容,歌ぐら共に鎮守の舞とほとんど同じです.
03はやしもの 囃子に合わせて,はやしものの歌ぐらを読むだけで,舞はありません
04とこつる 囃子に合わせて,一人が片足で鎮守の舞を舞います.歌ぐらはありません.
05源蔵改 囃子に合わせて,二人が向かい合って扇を開き,互いに上下しながら源蔵改の詞を三回読みます.
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06つるぎ この舞は『宵つるぎ』,『夜つりぎ』ともいわれ,黒澤田楽の中の白眉といわれています.
舞い手は一人,たっつけ,白の浄衣,襷,花笠,腰には太刀を佩く.
舞い始める前に,左手に扇,鈴,榊の枝を持ち,正面に向かって榊の葉を切って清めます.
最初の舞は,右手に鈴,左手に開いた扇を持って舞います.次に,扇を腰にさし,刀を鞘のまま持って舞います.次に,浄衣を脱ぎ刀の鞘を払って,急調子の囃子に合わせて刀を振りながら舞います.このとき,宵つるぎの歌ぐらを三度唱えます.
舞は,中の舞,地の舞,天の舞から成り,それぞれ正面,東,南,西,北の五方に舞います.
07もどき つるぎにたいするもどきです.
舞い手は一人,たっつけ,襷,花笠,腰には藁を束ねて鞘にした木刀を佩く.
後半藁の鞘を抜いて木刀の切っ先を持って,つるぎのまいの動作を真似て舞います.囃子に合わせて舞いますが,歌ぐらはありません.

※もどき(擬き)=比擬.まがい物という意味から,主役をからかったり,動作を真似たりして,滑稽な演技をする役
08ほこ この舞は『鎮の舞』とか『ひのうさま(火王様)』ともいいます.
袴をはき,白の浄衣を着,ひのう面を着けます.
最初,扇と鈴を持って舞い,次に,鍔に御幣がついた鉾が渡されます.この時,囃子と共にひのうさまの歌ぐらが入り,舞い手は鉾を持って五方に舞います.
悪霊を鎮める舞と言われ,荘重で神秘的な舞です.
09きね 舞い手は一人,たっつけ,襷,花笠を着け,始めは香柴を持って舞います.その後,手杵を回しながら舞います.
囃子は伴いますが,歌ぐらはありません.
10しし たっつけに襷.扇を持ち,女郎面を付けたまねきが登場.
扇で招くと獅子が登場します.まねきの左側に獅子が添って共に舞います.
舞の途中で獅子が伏して休むと,もう一人が榊を持ってきて木陰を作ります.この時,獅子囃子の歌ぐらが唱えられます.すると,獅子が立ち上がって舞います.
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11こま コマの面を頭の上につけ,鈴と扇を合わせて持ち,中腰で駒が這うように舞います.
途中で駒が伏せて休んでいると,刀を腰に差し,扇を持った馬喰が.いかにも遠くから来たように,見物人に道を聞いたり,話しかけながら登場します.
即興で馬主と駒の商談が行われます.
商談が成立すると,駒の囃子の歌ぐらを唱え,駒は再び鈴をならして舞いながら,馬喰に曳かれ退場します.
次の『12みのくち』から『15さんばそう』までは,非常に長い歌ぐらを伴い,舞など所作が殆どない演目です.当日は『みのくち』から『さんばそう』まで,7〜8分で行われていることから,いくつかの演目が省略されたのではないかと思われます.詳細をご存じの方はお教え下さい.
12みのくち 水口祭りのことで,二人が中央に座り,みの口申しの歌ぐらを読みます.
13おきな おきなやまつかげの面を付け四人で歌ぐらを読みます.
14まつかげ 一人がまつかげの面を付けて立ち,もう一人は座ったまま,松景さまの歌ぐらを読みます.
15さんばそう 天下安全,豊穣予祝の祈祷で,おきなのもどきといわれています.
一人は藁烏帽子をつけ御幣を持ちます.一人はゑびす面を付け香花弊と宝物(男根形)を持ちます.他の二人は扇を開いて前に置き歌ぐらを読みます.歌ぐらの途中で幣束を捧げたり,宝物でお払いの所作をします.
『16くなつくり』から『37いなぼら』までは「田遊び」になります.
養蚕や畑作り,稲作など農作業の所作が続きます.
16くなつくり 中央に太鼓を置き,早生,中生,晩生と歌ぐらを唱えながら,雑穀に見立てた洗米を三回播きます.
17きぬきせ 中央にシキミの木を立て(これを「ししの山」といいます),羽織袴に白の浄衣を着た二人が,両方から扇であおぎながら,きぬきせの歌ぐらをよみます.
養蚕の掃き立ての予祝と思われます.

※掃き立て=養蚕で孵化した蚕を蚕座に移す作業。「鷹の羽根」を用いて蟻蚕を掃き下ろしたことに由来しています.
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18いみぞさらえ 中央に置かれた太鼓を田と見なし,溝さらえをします.
二人が木製の鍬を太鼓の上に置き,いみぞさらえの歌ぐらに合わせて手前に引いたり,向こうへ押したり.という所作を三回繰り返します.
19田うち 木製の鍬を担ぎ,それぞれ太鼓のバチと鈴を持った二人が登場.一人が太鼓をたたき,一人は鈴を振りながら太鼓の周りを三回まわります.
歌ぐらはありません.
20しばかり 二人が,木製の鎌を太鼓の上で中向きに揃え,歌ぐらに合わせて柴を刈る所作を三回します.
21しばしき 一人が太鼓をたたきながら,歌ぐらを唱え,もう一人が鈴を振りながら鍬で板敷を突き,柴を田に踏み込む所作を三回行います.
22いもゆゑ 一人が太鼓をたたきながら,いもゆゑの歌ぐらを唱え,もう一人が杵で板敷を突いて,芋種を植える所作をします.
23もみまき 16くなつくりと同じで,洗米を籾に見立てて播きます.
24とりおい 一人が鈴を振り,一人が太鼓をたたきながら,とりおいの歌ぐらを唱えます.
苗代の鳥を追い払うと同時に,一切の厄災を鳥に見立てて追い払おうとゆう願いが込められています.
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25むぎかり 女竹と紙で麦に見立てたものを,太鼓の上に立て,鎌で刈り取る所作を三度行います.
歌ぐらはありません.
26くわとり 17きぬきせの続きで,中央にシキミの木を立て,くわとりの歌ぐらを唱えながら,桑の葉を摘む所作をします.
27むぎ・こめつき 麦搗きと米搗きを行うもので,22いもゆゑと同様,一人が太鼓を打ち,むぎつきとこめつきの歌ぐらを読み,もう一人が杵で板敷を突いて,米・麦搗きの所作をします.
28ひる 全員でひるの歌ぐらを三回読む.所作はありません.

※ひる(簸る)=穀物を箕に入れ,上下にあおるようにして実とアラに選別すること.
29あらう 米を洗うことで,全員であらうの歌ぐらを三回読みます.所作はありません.
30田うゑ 田うゑの歌ぐらを読んだ後,花笠をかぶった二人が扇を開いて中の舞・地の舞・天の舞を舞います.
次に白の浄衣を脱いで,二人で両端を持ってかけ声を掛けながら身体を回転させ頭の上で浄衣を絞り上げます.
この時,参詣者も加わって賑やかに舞います.
31ひるめし 腹が大きくなった女に扮した昼飯持が,田植えに昼飯を持ってくる.
ものですがが,当日配布された資料や鳳来町誌には,現在行われていない.という記述されています.
ところが,当日小さなおにぎりを澤山お櫃に入れ,参詣者に配ってくれました.
32あわとり 女竹の先に木片を吊したものを粟に見立て,これを太鼓の上で立て,木の鎌で刈り取る所作を三回行います.
歌ぐらはありません.
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33あずき 高さ二メートルほどのクロモジの木の枝に,長さ七センチ,幅一センチくらいの桧の木片を楮でつるし,あずきに見立てます.これを天井に打ち付け飛び散らします.これを参詣者たちが拾い,持ち帰り神棚に供えてその年の豊作を願います.
歌ぐらはありません.
34まめ 33あずきと同じですが,あずきより少し大きく先端を斜めに切った木片をまめに見立てます.
35いもとり 丸太片と女竹で作ったものを里芋と見なし,それを太鼓の上で立て,木製の鍬で芋掘りをする所作を三回行います.
歌ぐらはありません.
36としのみ 15さんばそうに使った弊紙に,としのみの歌ぐらを唱えながら,雑穀を包みます.平年なら十二包み,閏年には十三包み作り,阿弥陀さまにお供えします.
残りは参詣者にも配られます.
37いなぼら 三合三勺の飯を山のように盛った木の椀(いなぼら)を頭の上に捧げ持ち,太鼓の上でうずくまります.いなぼらの歌ぐらに合わせて,徐々に立ち上がり,いなぼらを高く差し上げます.
38げどうばらい 『朝つるぎ』ともいわれ,最後の舞です.
神楽や田楽のしづめにあたり,悪霊・邪霊の鎮魂をして,この場に招いた霊を元に送り戻すものである.神秘的な行事として厳粛に行われます.
舞は,朝つるぎの歌によって剣の舞を舞った後,げどうばらいの歌ぐらに合わせて吉方,次にその反対方向,最後に出入り口の方向に切り込んで舞い納めます.
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